「やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく」という本を読みました。素晴らしい内容の本です。
「ある日を境に逆転してしまう正義は、本当の正義ではない。もし、ひっくり返らない正義がこの世にあるとすれば、それは、おなかがすいている人に食べ物を分けることではないだろうか。」 やなせたかしさんが終戦後に出した答えです。
アンパンマンの主題は、そこにあると思います。
夫婦喧嘩をしたことがない嵩さん
「ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです。ヒーローだけでなく普通の人でも同じです。」
そんな考えの嵩さんです。誰にも優しく接し、困っていたら手を差し伸べたそうです。「困ったときの、やなせさん」と呼ばれてました。
だからでしょうか、暢さんと夫婦喧嘩をしたこともないそうです。
それから詩もいくつも書いてますね。
ちいさなテノヒラでも
しあわせはつかめる
ちいさなこころにも
しあわせはあふれる
私の指をしめらせて
こんなに雨はふるけれど
にぎりしめた手のなかに
ほんのちいさなしあわせがある
(「ちいさなテノヒラでも」より)

苦難に負けない、苦難を楽しむ暢さん
アンパンマンが最初、編集者に受け入れられなかったころでも暢さんは嵩さんを応援していました。雨の降り込むアパートのトイレも空が見えて楽しいなんて言っていたそうです。
私たちはあの有名なアンパンマンの作者だから良い生活をしているのだろうと思いがちですが、テレビで「それいけ!アンパンマン」が放送されたのは1988年10月3日で嵩さんはすでに69歳になっていましたから、それまでの苦労は色々とあったわけですね。そのあたりも詳しく書いてあります。

サンリオ、辻信太郎社長
やなせさんの詩づくりをサポートしてくださった辻さんのことも書いてあります。辻さんが経営していた会社(サンリオの前身の会社)で、かわいいカードを売り出すようにした理由として、人と人がなかよくなるきっかけを作りたいから、ちいさな子どもでもお小遣いで買えるようにして、子どもの頃から人と仲良くすることを身につけて欲しいからというものがありました。
今のサンリオのHPには、不変の企業理念として「みんななかよく」が頂点に掲げられています。ちょっと小学校の校訓みたいで、企業理念としては珍しい言い回しではないかなと思いました。でも、この本を読んだあとでしたので、1960年創業以来の信念を貫いていらっしゃるのだと思いました。
子どもが小さい時にサンリオピューロランドに何度か遊びに行きましたが、そんな企業理念から作られたお出かけスポットだと知りました。改めて、ピューロランドに行って子どもたちがなかよく楽しんでいる姿をみたくなりました。

おわりに
本文の中には、いくつかの詩が紹介されています。私は「愛する歌 詩集」の第2集と第3集を図書館で借りることにしました。また、サンリオの制作した「愛のファミリー」という映画も紹介されていましたので、気になります。
本を読んでいて、絵を描いてみたくなりました。何も見ないでアンパンマンとバイキンマンとジャムおじさんを描きました。バイキンマンが全然違いました。笑

それでは、また。

